話している動画に字幕を付けたいけれど、一言ずつ聞き取って打ち込むのは時間がかかりすぎる。そんな悩みは、AIの自動字幕で大きく減らせます。話した内容を自動で文字にして、字幕のたたき台を作ってくれるからです。
この記事では、字幕づくりの流れ(文字起こし→修正→デザイン→書き出し)と、主要ツールの対応状況・料金・字幕ファイル(SRT)の書き出し可否を表で比べます。誤変換を減らすコツや、見やすい字幕のポイントも紹介します。内容は2026年10月27日時点で各公式サイトを確認したものです。

AI字幕の自動生成とは?できることと流れ
AI字幕の自動生成とは、動画の音声をAIが聞き取って文字にし(文字起こし)、表示するタイミングごとに区切って字幕にする機能です。「音声認識」と呼ばれる技術が使われています。
字幕づくりの流れは、どのツールでもおおむね次の4ステップです。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 文字起こし | 動画の音声をAIが文字にする | ここまでは自動。動画の長さによって待ち時間が変わる |
| 2. 修正 | 誤変換や言い間違い、区切りの位置を直す | いちばん大事な工程。最後に必ず全文を見直す |
| 3. デザイン | フォント・色・大きさ・位置を整える | 動画の雰囲気と読みやすさで決める |
| 4. 書き出し | 動画に字幕を焼き付ける、または字幕ファイル(SRTなど)として出す | 目的によって選ぶ(次の章で説明します) |
AIが担当してくれるのは1番目の文字起こしです。2番目以降は人の仕事なので、「全部自動で完成」ではなく、「打ち込む作業がなくなり、直す作業だけが残る」と考えると、ちょうどよい期待値になります。
字幕の2つの付け方:焼き付けとSRT
字幕の出し方には、大きく2種類あります。ここを知っておくと、ツール選びで迷いにくくなります。
映像に焼き付ける字幕(ハードコード)
字幕を映像の一部として、書き出した動画に直接埋め込む方法です。どのプレーヤーやSNSで再生しても同じ見た目で表示され、フォントや色も自由に決められます。一方で、あとから字幕を消したり、言語を切り替えたりはできません。縦型のショート動画では、こちらの方法がよく使われます。
字幕ファイルを別に用意する方法(SRTなど)
字幕の文章と表示する時間だけをテキストにしたファイルを、動画とは別に用意する方法です。代表的な形式がSRT(.srt)で、YouTubeの公式ヘルプでも、初めて字幕ファイルを作る人には.srtまたは.sbvが扱いやすいと案内されています。
YouTubeの場合、YouTube Studioで字幕ファイルをアップロードできます。字幕ファイルには文字とタイムスタンプ(表示時刻)が必要とされています。視聴者が字幕のオン・オフを選べるのがこの方法のメリットで、長めの動画をYouTubeに載せるときに向いています。
- SNSのショート動画:映像に焼き付ける方法が中心
- YouTubeの解説動画・講座動画:SRTなどの字幕ファイルを使うと、あとから直しやすい
- 字幕ファイルを出せるかどうかはツールによって違うので、次の比較表で確認する
主要ツールの対応状況を比較
字幕づくりに使える主なツールを、公式サイトで確認できた範囲で比べました。公式サイトで確認できなかった項目は「記載なし」としています。「記載なし」は、機能がないという意味ではありません。
| ツール | 自動字幕 | 料金の目安 | 字幕ファイル(SRT)の書き出し |
|---|---|---|---|
| Adobe Premiere(旧Premiere Pro) | 読み込み時に音声の文字起こしを自動生成(製品ページの記載) | 単体プラン 月3,280円(税込・年間プラン月々払い) | 製品ページに記載なし |
| CapCut | 自動キャプション(無料・クレジットカード不要と案内) | 無料/有料のProあり | スタンドアロンのSRTファイルを別にエクスポートできると記載 |
| Vrew | 音声認識による字幕の自動生成 | Freeプランあり(無料)/有料プランあり | トップページに記載なし |
| DaVinci Resolve | 「字幕&クローズドキャプション」の項目あり。自動生成の記載は製品ページになし | 無料版/Studio版(買い切り) | 製品ページに記載なし |
| Filmora | AI字幕生成(文字起こしと修正候補の確認) | 年間プラン6,980円〜/永続ライセンス8,980円 | 公式トップページに記載なし |
| YouTube(自動字幕) | 動画をアップロードすると自動で作られる | 無料 | YouTube Studioから字幕をダウンロードできる |
※2026年10月27日時点の各公式サイトの記載です。料金の詳細や最新の情報は、各公式サイトでご確認ください。Premiere・DaVinci Resolve・Filmora・Vrewの字幕ファイルの書き出しは、今回確認した公式ページには記載がありませんでした。使う前に、ソフト内のメニューや公式ヘルプで確かめてください。
動画編集ソフトのAI機能を字幕以外も含めて比べたい人は、動画編集×AIの始め方もあわせてどうぞ。
ツール別の特徴と向いている人
CapCut:無料で始めたい人、SRTも使いたい人
公式サイトでは、字幕の自動生成を無料・クレジットカード不要で使えると案内されています。タイムラインに動画を入れて「テキスト」メニューから自動キャプションを選び、「生成」を押す流れです。話されている言語を検出して字幕にし、誤字や改行の位置は、リスト表示でまとめて修正できるとされています。
フォント・色・大きさ・位置の調整や、テキストアニメーション、翻訳字幕にも対応しています。字幕を単独のSRTファイルとして書き出せる点も、公式のよくある質問に書かれています。使い方の詳細はCapCutのAI機能の解説を見てください。
Vrew:トーク動画の字幕を、文字を直す感覚で作りたい人

Vrewは、音声認識で字幕を自動生成するソフトです。公式サイトには「音声分析で作られた字幕をちょっとだけ修正すると長い動画の字幕もあっという間に完成」と説明されています。無料のFreeプランがあり、料金ページでは月ごとのクレジットと音声分析の上限が示されています。
翻訳字幕は100か国語以上に対応すると案内されています。字幕づくりが中心の人には、候補に入れたいソフトです。操作の手順はVrewの使い方で解説しています。
Adobe Premiere:仕事で動画編集をする人
Adobe Premiere(旧Premiere Pro)は、公式サイトでAI機能により、動画の読み込み時に音声の文字起こしを自動で作れると紹介されています。文字起こしを使ったラフカット作成にも触れられています。タイトル機能では、キャプションを18言語に翻訳できるとも書かれています。
ただし、文字起こしの対応言語や字幕ファイルの書き出しは、製品ページでは確認できませんでした。日本語の字幕を付けるときは、ソフト内の案内を確認してください。AI機能の全体はPremiereに搭載されたAI機能にまとめています。
DaVinci Resolve・Filmora:編集もまとめて1本のソフトでしたい人
DaVinci Resolveは、公式の製品ページにエディット機能として「字幕&クローズドキャプション」の項目があります。ただし、自動で文字起こしする機能の説明は製品ページにはありませんでした。無料版から始められるので、まず字幕の入れ方を触って確かめるのがよいでしょう。
Filmoraは、公式サイトで「AI字幕生成」が紹介されています。AIが音声を文字にして、修正候補を確認でき、専用の字幕トラックで管理し、「ダイナミックキャプション」も使えるとされています。無料版は書き出しにFilmoraの透かしが入ります。
YouTubeの自動字幕:手軽に付けたいが、仕上がりは要確認
YouTubeでは、動画をアップロードすると自動字幕が作られます。日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語など多くの言語に対応しています。字幕が作られると自動的に公開されます。
一方、公式ヘルプには「機械学習アルゴリズムによって生成されたものであるため、品質にばらつきが出る可能性があります」と書かれています。自動字幕は、そのまま公開せずに内容を確認するのが前提です。違いは後の「注意点」でくわしく説明します。
字幕の精度を上げるコツ
字幕の精度は、AIの性能だけでなく、元の音声の状態に大きく左右されます。YouTubeの公式ヘルプでも、発音、アクセント、方言、雑音が原因で誤認識されることがあると説明されています。つまり、次のような工夫で、誤変換を減らせる可能性があります。
雑音の少ない環境で録音する
エアコンやパソコンのファン、外の車の音が入ると、AIは声を聞き分けにくくなります。録音前に音の出る機器を止める、マイクを口に近づけるなど、雑音を入れない工夫が有効です。後から音声のノイズを減らす機能もありますが、はじめからきれいに録るほうが確実です。
はっきり、区切りながら話す
発音やアクセントの影響があるとされているので、早口や語尾が消える話し方は誤認識の原因になり得ます。文ごとに少し間をあけて話すと、字幕の区切りも作りやすくなります。複数の人が同時に話さないようにするのも大切です。
固有名詞や専門用語は、あとで必ず確認する
人名、会社名、商品名、専門用語は、AIが別の言葉に変えてしまいやすい部分です。ツールによっては、用語を登録して認識を助ける機能があるかもしれませんが、今回確認した公式ページでは記載を見つけられませんでした。登録機能に頼らず、文字起こし後に検索・置換で一括確認するのが安全です。
言語の設定を確認する
YouTubeでは、1つの動画に複数の音声言語がある場合、デフォルトの言語が使われると案内されています。日本語と英語が混ざる動画は、うまく認識されない部分が出る可能性があるので、その部分は特に念入りに見直しましょう。
見やすい字幕にするポイント
文字起こしをそのまま字幕にすると、長すぎて読めなかったり、読みにくい区切りになったりします。次の点を意識して手直しすると、グッと見やすくなります。
- 1回に表示する文字は短く:1画面に詰め込まず、2行以内を目安にする(行数や文字数は、投稿先に合わせて調整する)
- 意味のかたまりで改行する:単語の途中や、助詞だけが次の行に残る改行は避ける
- 「えー」「あの」などの言いよどみは削る:話し言葉をそのまま出すと読みにくくなる
- 背景と文字の色の差をつける:白い文字に黒い縁取りなど、背景が明るくても暗くても読める組み合わせにする
- 位置をそろえる:顔や重要な映像に重ならないよう、画面の下側などに統一する
- 表示する長さに余裕を持たせる:読み終わる前に消えないよう、表示時間を確認する
CapCutには、公式サイトの説明によるとフォント・色・大きさ・位置の調整やプリセットがあります。Filmoraにも字幕のデザインを整えられる機能があるとされています。1本の動画の中でデザインを統一することが、見やすさの近道です。
「どの動画でも同じ字幕スタイルにする」と決めておくと、編集のたびに迷わなくなり、チャンネルの見た目も統一できます。
AI字幕の注意点
誤変換は必ず人が確認する
AIの文字起こしは、同音異義語や固有名詞、早口の部分で間違えることがあります。間違った字幕をそのまま公開すると、内容が正しく伝わらないだけでなく、動画全体の信頼性も下がります。公開前に、最初から最後まで通して見て確認しましょう。
YouTubeの自動字幕と、自分で作った字幕の違い
YouTubeの自動字幕は、アップロードした動画に対してYouTubeが自動で作る字幕です。公式ヘルプによると、アップロード直後は処理が終わっていないことがあり、音声が複雑だと時間がかかります。生成されると自動で公開されるため、内容の確認は投稿者が行う必要があります。
自動字幕を編集すると、YouTube Studioでは新しい字幕トラックとして保存される仕組みです。既存のドラフトを上書きしたい場合は、「複製して編集」から進むと案内されています。一方、編集ソフトで作った字幕をSRTなどのファイルでアップロードすれば、自分で整えた字幕を表示できます。
なお、YouTube公式ヘルプでは、クリエイターにはまず専門サービスによる字幕作成が勧められています。大事な動画は、自動字幕だけに頼らない選択もあります。
ツールのプランや回数の上限を確認する
Vrewのように月ごとのクレジットや音声分析の上限があるソフトや、無料版では書き出しに透かしが入るソフトもあります。長い動画をたくさん処理するなら、公式サイトの料金ページで上限を確認してから選びましょう。
動画内の個人情報や権利に気をつける
字幕に起こした内容に、他人の名前や連絡先が含まれていないか確認しましょう。また、他人の動画や音声を勝手に文字起こしして公開するのは、権利の問題になるおそれがあります。自分の動画、または許可を得た動画で使うようにしてください。
字幕づくりを仕事にしたい人へ
AIで文字起こしが速くなっても、読みやすい区切り方やデザイン、動画全体の見せ方を整える力は人に求められます。AIを使いこなして、仕上げの質で差をつけることが大切です。
オンラインの動画編集スクールSTUDIO USでは、Premiereでの編集の基礎から、テロップや字幕の入れ方、モーショングラフィックス、案件の取り方まで学べます。動画クリエイター総合コースは国の補助金・給付金の対象にもなっているため、条件を満たせば受講料の負担を大きく減らせます。
STUDIO USの詳細を見てみる:公式サイトはこちら
AI字幕に関するよくある質問
Q:無料で字幕を自動生成できますか?
できるツールがあります。CapCutの字幕の自動生成は、公式サイトで無料・クレジットカード不要と案内されています。Vrewには無料のFreeプランがあり、YouTubeの自動字幕も無料です。ただし、無料版は上限や透かしなどの制限がある場合があります。
Q:SRTファイルとは何ですか?
字幕の文章と、表示する時間をテキストで書いたファイルの形式です(拡張子は.srt)。YouTubeにアップロードして字幕として使えるほか、公式ヘルプでは、初めて字幕ファイルを作るときに扱いやすい形式のひとつとされています。
Q:日本語の字幕も自動で作れますか?
YouTubeの自動字幕は日本語に対応しています。そのほかのツールの日本語の対応状況は、今回確認した公式ページでは詳しく記載がないものもありました。実際に自分の動画で試して、結果を確認してから使うのがおすすめです。
Q:字幕の精度はどのくらいですか?
公式サイトでは、精度を数字で示していないものがほとんどです。YouTubeの公式ヘルプも、品質にばらつきが出る可能性があるとしています。そのため、この記事では精度の比較はしていません。どのツールでも、最後に人が確認する前提で使ってください。
まとめ:AIは字幕のたたき台づくり、仕上げは人が行う
- 字幕づくりの流れは、文字起こし→修正→デザイン→書き出し。AIが担当するのは最初の文字起こし
- SNSのショート動画は映像への焼き付け、YouTubeの長めの動画はSRTなどの字幕ファイルが便利
- CapCut・Vrewは無料で試せる。今回の確認でSRTの書き出しが公式に確認できたのはCapCutとYouTube(字幕のダウンロード)
- 録音時の雑音を減らし、はっきり話すと、誤変換を減らせる可能性がある
- YouTubeの自動字幕も含め、公開前に必ず全文を見直す
まずは短い動画1本で、自動字幕から修正までの流れを試してみてください。どのツールが自分の動画に合うかは、使ってみると分かります。
※記事内の料金・機能は2026年10月27日時点の各公式サイトの情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。YouTubeの情報はYouTubeヘルプ(自動字幕)などによります。
※写真の出典:Shixart1985「Middle-aged businesswoman typing on laptop at home office」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。