※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。料金・機能は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

なぜ今「Adobe vs Affinity」が注目されているのか

デザイナーやクリエイターにとって、ツール選びは死活問題です。長年にわたり業界標準として君臨してきたAdobe(フォトショップ・イラレ)に対し、ここ数年で急速に台頭してきたのがAffinity(アフィニティ)シリーズです。

Adobeが月額サブスクリプションへ完全移行して以降、コスト負担の増加に悩むフリーランスや副業クリエイターが増えました。その受け皿として注目を集めたのがAffinityであり、「買い切り型で使えるプロ仕様のデザインツール」として急速にシェアを拡大しています。

2023年にはCanvaがAffinityを買収し、さらに存在感が高まっています。この記事では、Adobe(Photoshop・Illustrator)とAffinityを機能・コスト・使い勝手の観点から徹底比較します。

まず「対応ツール」を整理しよう

AdobeとAffinityはそれぞれ複数のツールを展開しており、それぞれに対応するソフトがあります。

用途

Adobe

Affinity

写真編集・画像合成

Photoshop

Affinity Photo 2

ベクターイラスト・ロゴ

Illustrator

Affinity Designer 2

冊子・ポートフォリオ・DTP

InDesign

Affinity Publisher 2

動画編集

Premiere Pro

(対応なし)

モーショングラフィックス

After Effects

(対応なし)

UIデザイン

Adobe XD(開発縮小)

Affinity Designer 2(対応)

Affinityは写真・ベクター・DTPの3分野をカバーしており、動画編集や音楽制作などのメディア系ツールはありません。純粋なグラフィックデザインに絞ったラインナップです。

料金比較:最大の違いは「サブスク vs 買い切り」

AdobeとAffinityの最大の違いは料金体系です。

Adobe Creative Cloud(サブスクリプション)

Adobeはすべてのツールがサブスクリプション(月額・年額払い)です。

プラン

料金(税込)

内容

単体プラン(Photoshopのみ等)

月額3,280円〜

特定の1アプリのみ使用可能

フォトプラン(Photoshop+Lightroom)

月額2,380円〜

写真系2アプリ+クラウド20GB

コンプリートプラン(全アプリ)

月額9,878円〜

全アプリ+100GBクラウド

※料金は時期によって変動します。公式サイトで最新の価格をご確認ください。

コンプリートプランを1年使うと約11万円以上のコストがかかります。フリーランスや副業の初期段階では、このコストが大きな負担になることも少なくありません。

Affinity(買い切り型)

AffinityはCanvaによる買収後も基本的に買い切り型の価格モデルを維持しています(最新の価格は公式サイトで確認してください)。

  • 各アプリ個別購入:1アプリごとに買い切りで購入できる
  • Affinity Universal License(3アプリセット):Photo 2・Designer 2・Publisher 2の3本をまとめて購入できるセット。個別購入より割安
  • iPad版も同価格または別途購入:iPad版も同様に使用可能

一度購入すれば追加費用なしで使い続けられるのが最大のメリットです。長期的に使い続けるほど、Adobeに比べてコストパフォーマンスが高くなります。

コスト比較まとめ

項目

Adobe CC(コンプリート)

Affinity(3本セット)

支払い方式

月額・年額(継続必須)

買い切り(1回払い)

1年間のコスト目安

約11万円以上

買い切り価格のみ

3年間のコスト目安

約33万円以上

変わらず(買い切り)

解約後の使用

使用不可

ずっと使用可能

バージョンアップ

常に最新版が使える

メジャーバージョンアップは有料の場合あり

機能比較①:Photoshop vs Affinity Photo 2

写真編集・画像合成の分野での比較です。

Photoshopの強み

  • 圧倒的な機能量:30年以上の歴史で積み上げられた機能の多さは群を抜く。レイヤー合成・マスク・フィルター・エフェクトなど何でもできる
  • 生成AI機能(Adobe Firefly統合):「生成塗りつぶし」「生成拡張」など、AIを使った画像生成・編集が強力。プロンプトで背景を生成したり、不要なものを自然に消したりできる
  • Camera Raw・Lightroom連携:RAW現像からレタッチまでシームレスに対応
  • 業界標準:制作会社や印刷会社とのデータのやり取りで互換性トラブルが起きにくい
  • 豊富な学習リソース:書籍・YouTube・スクールなど学習教材が圧倒的に多い
  • Adobe Fonts:サブスク中は何万フォントも無料で使える

Affinity Photo 2の強み

  • 動作が軽快:Photoshopより起動が速く、大きなファイルでもサクサク動くことが多い
  • 非破壊編集に強い:RAW現像・レイヤー編集・フィルターすべてが非破壊で、後から自由に変更できる
  • Photoshopファイル(.psd)を開ける:Photoshopとのある程度の互換性あり(完全ではない)
  • iPad版が充実:デスクトップ版とほぼ同じ機能がiPadで使える。Apple Pencilとの相性も良い
  • HDR・360°画像編集:写真系の特殊な編集にも対応している
  • コストパフォーマンス:買い切りでプロ品質の写真編集ができる

Photoshop vs Affinity Photo 2:どちらを選ぶ?

こんな人には

おすすめ

制作会社・印刷会社と頻繁にデータをやり取りする

Photoshop

AI機能を使った高度な画像編集がしたい

Photoshop

コストを最小限に抑えて写真編集したい

Affinity Photo 2

iPadでもデスクトップと同じ操作感で作業したい

Affinity Photo 2

動作が重くて困っている

Affinity Photo 2

機能比較②:Illustrator vs Affinity Designer 2

ベクターイラスト・ロゴデザインの分野での比較です。

Illustratorの強み

  • ベクター編集の最高峰:パス・アンカーポイントの操作性はプロからの評価が高く、複雑なイラストも正確に描ける
  • 印刷・DTP業界の完全標準:印刷会社への入稿データは.ai形式が事実上の標準。入稿トラブルを避けたいなら必須
  • アートボード機能:複数サイズのデザインを1ファイルで管理できる
  • Photoshop・InDesignとの完全連携:同じAdobe製品どうしで配置・リンクがスムーズ
  • 豊富なプラグイン:サードパーティのプラグインエコシステムが充実している
  • 文字組み・日本語対応:縦組み・ルビなど日本語の複雑な組版に対応している

Affinity Designer 2の強み

  • ベクターとラスターを1アプリで切り替え:「ベクターペルソナ」と「ピクセルペルソナ」を1つのアプリ内で切り替えられ、ベクター作業とビットマップ編集を行き来できる
  • UIデザイン(ワイヤーフレーム)にも対応:「UIデザインペルソナ」があり、WebサイトやアプリのUI設計にも使える
  • Studio Link機能:Affinity Photo 2・Publisher 2と同じ画面内でシームレスに切り替えられる
  • Illustratorファイル(.ai / .eps)の読み込み対応:Illustratorとの部分的な互換性あり
  • iPadでも完全版が使える:外出先でiPadを使ったデザイン作業もデスクトップと同等のクオリティで可能
  • 高速レンダリング:複雑なベクターデータでも動作が軽快

Illustrator vs Affinity Designer 2:どちらを選ぶ?

こんな人には

おすすめ

印刷会社への入稿データを作る

Illustrator

大手制作会社と協業する

Illustrator

日本語の複雑な組版・縦組みが必要

Illustrator

ロゴ・SNS素材・Webバナーをコスパよく作りたい

Affinity Designer 2

WebデザインのUIモックアップも作りたい

Affinity Designer 2

iPadと併用して作業したい

Affinity Designer 2

Affinity Publisher 2 vs Adobe InDesign

ポートフォリオ・冊子・パンフレットなどDTP作業の比較です。

Adobe InDesignの強み

  • 印刷業界の完全標準:出版社・印刷会社はほぼInDesignで動いている
  • EPUB・電子書籍出力:電子書籍制作にも対応
  • 大量ページの書籍・カタログ制作:数百ページの大型案件でも安定して動く

Affinity Publisher 2の強み

  • Studio Link機能:Publisher 2の画面内からPhoto 2やDesigner 2の機能をそのまま使える。ページレイアウト中に写真編集やベクター編集をシームレスに行える
  • InDesign(.idml)の読み込みに対応:InDesignのファイルをある程度読み込める
  • コストパフォーマンス:買い切りでプロ仕様のDTP作業が可能
  • 直感的なUI:InDesignよりも学習コストが低いと感じるユーザーが多い

互換性・ファイル形式について

Adobeからの移行や協業でよく気になる「ファイル互換性」について整理します。

Adobeのファイル形式

Affinityでの対応

.psd(Photoshop)

開ける(レイヤー構造などほぼ維持)

.ai(Illustrator)

開ける(一部レイアウトが崩れることあり)

.eps

開ける

.pdf

開ける・書き出し可能

.idml(InDesign)

Publisher 2で開ける

Adobe固有クラウドアセット

非対応

完全な互換性はありませんが、一般的な作業では十分実用的なレベルです。ただし印刷会社への入稿や大手代理店との協業など、厳密な互換性が求められる場合はAdobeを選ぶほうが安全です。

学習コスト・使いやすさの比較

初心者が始めやすいのは?

どちらも初心者向けとは言えませんが、比較すると:

  • 学習リソースの豊富さ:Adobe圧勝。書籍・YouTube・スクール・公式チュートリアルすべてでPhotoshop/Illustratorが圧倒的に多い
  • UIの直感性:AffinityはAdobeより若干シンプルで、操作の論理がわかりやすいと感じる人も多い
  • 既存スキルの活用:Adobe経験者なら、Affinityへの移行でショートカットや操作感の違いに最初は戸惑う

Adobeから乗り換える場合の注意点

  • ショートカットキーが異なる部分がある(カスタマイズで対応可能)
  • Adobe Fontsが使えなくなる(Google Fontsなどで代替)
  • Lightroom・After Effects・Premiere Proとの連携がなくなる
  • 一部のPhotoshopプラグインが使えなくなる

Affinityに向いている人・Adobeに向いている人

Affinityがおすすめな人

  • フリーランス・副業でコストを抑えたい人:初期投資を低く抑えてプロ品質のデザインができる
  • 印刷入稿が不要な仕事がメインの人:SNS素材・WebバナーなどデジタルコンテンツメインならAffinityで十分
  • iPadをメインに使いたい人:iPad版の完成度はAdobeより高く、Apple Pencilとの相性も抜群
  • 副業をこれから始める人:いきなり高コストのAdobeに投資せず、まずAffinityでスキルを身につけてから判断できる
  • 動画・音声制作が不要な人:静止画デザインに特化するならAffinityで完結できる

Adobeがおすすめな人

  • 制作会社・印刷会社に就職・転職したい人:業界標準スキルとして求められるため、Adobeを使えることが条件になることが多い
  • クライアントからAdobeファイルを受け取る仕事が多い人:完全互換性が必要なら乗り換えにくい
  • AI機能を積極的に活用したい人:Adobe Fireflyの統合による生成AI機能はAffinityにはない
  • 動画・映像制作もする人:After Effects・Premiere Proとセットで使うならAdobeコンプリートプランが効率的
  • 幅広い職種でスキルを活かしたい人:Adobe スキルは求人市場での評価が高い

「両方使い分ける」という選択肢

実は「AdobeかAffinityか」の二択ではなく、両方を状況に応じて使い分けるクリエイターも増えています。

例えば:

  • クライアント案件(印刷入稿あり)→ Adobe
  • 自分のSNS素材・ポートフォリオ作成 → Affinity
  • iPadでのスケッチ・ラフ作成 → Affinity

Affinityの買い切りコストはAdobeのサブスク1〜2か月分程度なので、AdobeユーザーがAffinityも持っておくという判断も十分合理的です。

よくある質問

Q. AffinityはPhotoshop・Illustratorの完全な代替になりますか?

A. 用途によります。SNS素材・Webバナー・ロゴ・ポートフォリオなどデジタル中心の仕事であれば、ほぼ完全な代替になります。印刷入稿・出版・大手制作会社との協業など、業界標準互換性が必要な場合はAdobeが必須です。

Q. Affinityのファイルは印刷会社に入稿できますか?

A. PDFに書き出して入稿することは可能です。ただし印刷会社によっては.aiや.psd形式での入稿を求める場合があります。事前に入稿仕様を確認しましょう。

Q. Adobe CC を解約したらデータはどうなりますか?

A. 解約後はアプリが使用できなくなりますが、作成したファイルデータ自体は手元に残ります。ただしAdobe固有のクラウドアセット(Adobe Fonts・Adobe Stockなど)は使えなくなります。

Q. Affinityは日本語に対応していますか?

A. はい、日本語UIに完全対応しています。ただし縦組みなど日本語特有の高度な組版はIllustratorやInDesignのほうが優れています。

Q. AffinityのiPad版はデスクトップ版と同じですか?

A. 機能的にはほぼ同等で、デスクトップ版とファイルをシームレスに共有できます。Apple Pencilとの親和性が高く、スケッチからフィニッシュまでiPadで完結できます。

まとめ:コスト重視ならAffinity、業界標準ならAdobe

PhotoshopとIllustratorかAffinity Photoとaffinity Designer 2か、選ぶ基準は明快です。

  • コストを抑えてプロ品質のデザインをしたいAffinity一択。買い切りで3アプリが揃い、長期的なコストパフォーマンスは圧倒的
  • 印刷入稿・制作会社との協業・就転職でのスキルアピールAdobe一択。業界標準は揺るがない
  • 副業・フリーランスを始めたばかりでまずスキルを身につけたいまずAffinityで始めて、必要に応じてAdobeを検討するのが賢明

Affinityはもはや「Adobeの廉価版」ではなく、プロが実務で使えるレベルのツールとして成熟しています。ツール選びに迷っているなら、まずAffinityの無料トライアルを試してみることをおすすめします。