確定申告とは?まずはざっくり理解しよう

※本記事の税額・控除額等は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。税制は毎年改正されるため、申告前に必ず国税庁(nta.go.jp)の公式情報をご確認ください。

「確定申告」という言葉を聞くと、なんとなく難しそう・面倒くさそうというイメージがありますよね。でも、仕組みを一度きちんと理解してしまえば、毎年スムーズにできるようになります。

まずは超シンプルに説明します。

確定申告とは、「自分が1年間でいくら稼いで、いくら税金を払うべきか」を国(税務署)に申告する手続きのことです。

日本では、働いて得たお金(収入)には「所得税」という税金がかかります。この所得税をいくら払うかは、人によって違います。たくさん稼いだ人はたくさん払い、少ししか稼がなかった人は少なく払います。でも税務署は、あなたが1年間でいくら稼いだかを自動では知ることができません。だから毎年、自分で「今年はこれだけ稼ぎました、税金はこれだけ払います」と報告する必要があるのです。これが確定申告です。

子どもにもわかる税金の仕組み

税金の仕組みを、もっとわかりやすく説明しましょう。たとえば、あなたが魚を10匹釣ったとします。国(税務署)は「みんなで生活するためのお金(道路・学校・病院など)を集めるから、釣った魚の一部を出してね」と言います。これが税金です。では、何匹出せばいいのか?それは「何匹釣ったか」によって変わります。たくさん釣った人はたくさん、あまり釣れなかった人は少なくていい。この「何匹釣ったか」を自分で報告することが確定申告なのです。

会社員と違って、なぜフリーランス・副業は自分で申告するの?

会社に勤めている人(会社員・正社員)は、確定申告をしなくてもいいことがほとんどです。なぜかというと、会社が代わりに税金の計算をして、毎月の給料から税金を差し引いて(天引きして)国に払ってくれているからです。これを源泉徴収(げんせんちょうしゅう)と言います。さらに年末になると会社は年末調整(ねんまつちょうせい)という作業をして、払いすぎた税金や不足した税金を調整してくれます。

つまり、会社員の場合は:

  • 毎月の給料から税金を自動で天引き → 会社が税務署に払う
  • 年末に会社が税額を調整(年末調整)
  • 本人は基本的に何もしなくていい

一方、フリーランスや副業で稼いだ場合は、そのお金から税金を自動で引いてくれる「会社」がいません。だから自分で計算して、自分で税務署に申告・納税する必要があるのです。

所得税の仕組みを超詳しく解説

「収入」と「所得」は違う!

まず最初に知っておいてほしいのが、「収入」と「所得」は違うということです。

  • 収入(売上):あなたが稼いだお金の合計(売上高)
  • 所得:収入から経費や控除を引いた「実質的な儲け」

例えば、動画編集の副業で100万円稼いだとします。でもパソコンやソフトウェアの購入で30万円かかっていたとします。この場合、収入は100万円ですが、所得は70万円(100万円 − 30万円)になります。税金は「収入」ではなく「所得」にかかります。だから経費をきちんと計上することが大切です。

所得税は「累進課税」という仕組み

日本の所得税は「累進課税(るいしんかぜい)」を採用しています。稼げば稼ぐほど税率が高くなる仕組みです。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円超〜330万円以下

10%

97,500円

330万円超〜695万円以下

20%

427,500円

695万円超〜900万円以下

23%

636,000円

900万円超〜1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円超〜4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

※上記は所得税のみ。別途、住民税(一律10%)もかかります。また「所得全体に一つの税率がかかる」わけではなく、段階ごとに税率が変わります。たとえば所得400万円の場合、195万円までは5%、195〜330万円は10%、330〜400万円は20%と段階的に計算します。

「控除」とは?税金を減らすための仕組み

控除(こうじょ)とは、税金の計算をするときに所得から差し引いてもらえる金額のことです。控除が多いほど税金が安くなります。主な控除は以下のとおりです:

  • 基礎控除:誰でも使える。2025年の税制改正により引き上げられました(※最新額は国税庁サイトで確認)
  • 青色申告特別控除:青色申告をする人が使える。最大65万円を控除
  • 社会保険料控除:国民年金・国民健康保険の支払い分を全額控除
  • 医療費控除:年間医療費が10万円を超えた分を控除
  • iDeCo(小規模企業共済等掛金控除):掛金を全額控除
  • 生命保険料控除:生命保険・医療保険の保険料を一部控除
  • 配偶者控除・扶養控除:配偶者や扶養家族がいる場合に控除

どんな人が確定申告をしなければならないの?

① フリーランス・個人事業主(会社に属していない人)

所得が基礎控除額を超える場合、確定申告が必要です。フリーランスとして動画編集・Webデザイン・ライティングなどの仕事をしている場合、会社員のように源泉徴収・年末調整をしてくれる会社がありません。1年間の収入から経費を引いた「所得」が基礎控除額を超えたら確定申告が必要です。基礎控除額は2025年の税制改正で引き上げられたため、最新の金額は国税庁サイトでご確認ください。

② 会社員・パートで副業収入がある人

副業の所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。会社員やパートとして働きながら副業もしている場合、本業の給与は会社が年末調整してくれますが、副業収入は自分で申告する必要があります。

例:動画編集の副業で年間50万円稼ぎ、経費が20万円かかった場合 → 所得は30万円 → 20万円超 → 確定申告が必要

「副業20万円以下なら申告不要」の注意点

副業所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。しかし住民税の申告は必要な場合があります。お住まいの市区町村の窓口に確認しましょう。

③ 2か所以上から給与をもらっている人(Wワーク)

メインの会社とは別にアルバイトや別の会社でも給与を受け取っている場合(ダブルワーク)、それぞれの会社は年末調整をしますが、合計した収入で計算し直す必要があるため確定申告が必要です。

④ 各種控除を受けたい人

以下のような控除を申請したい場合は確定申告が必要です:

  • 医療費控除:年間医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合
  • 住宅ローン控除(初年度):マイホーム購入初年度は確定申告が必要
  • ふるさと納税(6自治体以上):ワンストップ特例を使わなかった場合

⑤ 株・FX・暗号資産で利益が出た人

FXや暗号資産(仮想通貨)での利益は基本的に確定申告が必要です(雑所得として申告)。株式も特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の場合は申告が必要です。

確定申告が不要な人は?

次のすべてに当てはまる人は、原則として確定申告をしなくてよいです:

  • 1か所の会社からのみ給与をもらっている
  • 副業・フリーランスの所得が年間20万円以下
  • 特別な控除(医療費控除・住宅ローン控除初年度など)が不要

「白色申告」と「青色申告」の違い

フリーランスや個人事業主が確定申告をする場合、「白色申告」「青色申告」の2種類があります。どちらを選ぶかで受けられる税金のメリットが大きく変わります。

白色申告とは?

手続きが比較的シンプルで、簿記の知識がなくてもできる申告方法です。

  • 帳簿(収支の記録)をつける義務はあるが、簡単なものでOK
  • 青色申告のような特別控除はない
  • 赤字を翌年に繰り越すことができない

青色申告とは?

一定のルールに従って帳簿をつけることで、大きな税制優遇が受けられる申告方法です。

  • 最大65万円の特別控除が受けられる(e-Taxによる電子申告が条件)
  • 赤字を最長3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できる
  • 家族への給与(専従者給与)を経費にできる
  • 30万円未満の備品を一括で経費にできる(少額減価償却資産の特例)

青色申告に必要な事前手続き

青色申告をするためには、事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があります。提出期限はその年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2か月以内)です。開業届と同時に提出するのがおすすめです。

白色・青色、どちらを選ぶべき?

フリーランス・副業で稼ぎたいなら青色申告一択です。最大65万円の控除は非常に大きく、年間所得300万円の人なら白色申告より数万円〜十数万円も節税できます。会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使えば帳簿付けはほぼ自動でできます。

確定申告の具体的な手順【ステップ別】

STEP1:1年間の収入・経費を記録する

1月1日〜12月31日の1年間の収入と経費をすべて記録しておきます。おすすめの会計ソフトは以下のとおりです:

  • freee(フリー):使いやすさが業界トップクラス。初心者向け
  • マネーフォワード クラウド確定申告:銀行口座・クレジットカードとの自動連携が強力
  • 弥生の青色申告オンライン:操作がシンプルで老舗の信頼感

これらのソフトは銀行口座やクレジットカードと連携でき、入出金データを自動で取り込んで帳簿を作ってくれます。月額数百円〜1,000円程度ですが、節税効果を考えると十分に元が取れます。

STEP2:必要書類を揃える

年末〜1月にかけて以下の書類を準備します:

  • 収入がわかるもの:請求書の控え、振込明細、クラウドソーシングサイトの取引履歴
  • 経費がわかるもの:領収書・レシート(必ず保管!)、クレジットカードの明細
  • 源泉徴収票:会社員との兼業の場合、会社からもらう
  • 社会保険料の控除証明書:国民年金の控除証明書(11月頃に郵送されてくる)
  • 生命保険料控除証明書:保険会社から10〜11月頃に郵送されてくる
  • マイナンバーカードまたは通知カード

STEP3:確定申告書を作成する

方法①:e-Tax(電子申告)でパソコン・スマホから申告する【おすすめ】

国税庁が運営する「e-Tax」を使えば、税務署に行かずにオンラインで申告できます。マイナンバーカードがあれば最もスムーズです。

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. 案内に従って収入・経費・控除を入力する
  3. 申告書が自動作成される
  4. マイナンバーカードで電子署名してe-Taxで送信
  5. 完了!(添付書類は後日郵送または税務署に提出)

e-Taxで青色申告をした場合、65万円の特別控除が受けられます(紙提出の場合は55万円)。

方法②:会計ソフトからそのままe-Tax送信する

freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトは、e-Taxと直接連携して電子申告できます。日頃から会計ソフトを使っている場合は、この方法が一番ラクです。

方法③:紙で申告書を作成して税務署に提出する

紙の確定申告書(国税庁のサイトでダウンロードか税務署でもらう)に記入して、税務署に持参または郵送します。直接窓口に行けば職員に相談しながら作成できます。

STEP4:税金を納める(または還付を受ける)

申告書を提出したら、計算された税額を3月15日までに納税します。

  • e-Tax(ダイレクト納付):銀行口座から直接引き落とし。一番簡単
  • クレジットカード払い:「国税クレジットカードお支払サイト」から支払い可能
  • コンビニ納付:QRコードをコンビニのレジに持っていく
  • 銀行・郵便局での振り込み:納付書を使って支払い

逆に、払いすぎた税金がある場合は「還付(かんぷ)」として申告後1〜2か月で指定口座にお金が返ってきます。

STEP5:書類を保管する

確定申告に使った書類(領収書・帳簿・申告書の控えなど)は一定期間保管する義務があります。

  • 白色申告の場合:5年間保管
  • 青色申告の場合:7年間保管

確定申告のスケジュール

時期

やること

1月1日〜12月31日

1年間の収支を日常的に記録する

12月〜1月

必要書類の準備・整理

2月16日〜3月15日

確定申告書の提出(毎年この期間)

3月15日まで

税金の納付

申告から1〜2か月後

還付がある場合は銀行口座に振込

申告期限を過ぎても申告できますが、遅れると「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティがかかることがあります。できるだけ2月中に準備を終えましょう。

フリーランス・副業で使える「経費」一覧

確定申告で忘れてはいけないのが「経費」です。仕事に関係する支出は経費として計上でき、課税される所得を減らせます。経費を正しく計上するかどうかで、納税額が大きく変わります。

経費にできるものの例

  • パソコン・タブレット・スマートフォン:仕事で使うものは経費OK。私用と兼用の場合は使用割合で按分する
  • ソフトウェア・サブスクリプション:Adobe CC、Final Cut Pro、ChatGPT Plus、Figmaなど仕事で使うもの
  • 通信費(インターネット代・スマホ代):仕事で使う割合分を経費に計上できる
  • 書籍・教材費・スクール受講料:仕事に関連する書籍や有料講座の受講料
  • 交通費:打ち合わせのための電車代・バス代など
  • 外注費:案件の一部を他の人に外注した際の費用
  • 家賃(自宅作業の場合):仕事に使う割合分を「地代家賃」として計上できる(按分計算が必要)
  • 水道光熱費:自宅で仕事をする場合、一定割合を経費にできる
  • 広告宣伝費:SNS広告費、ポートフォリオサイトのドメイン・サーバー代など
  • 接待交際費:クライアントとの打ち合わせ時の飲食代など(仕事に直接関係するもの)

経費にできないものの例

  • 完全にプライベートな食事・旅行・趣味の支出
  • 仕事と全く関係ない洋服・美容代
  • 罰金・違反金
  • 所得税・住民税

「按分(あんぶん)」とは?

プライベートと仕事を兼用しているものは、使用割合で経費を按分(割り振り)します。例えばスマホを仕事でも私用でも50:50で使う場合、スマホ代の50%を経費として計上できます。按分の割合は合理的な根拠があれば自分で設定できますが、実態に沿った割合にしましょう。

確定申告をしなかったらどうなるの?(ペナルティ)

確定申告が必要なのに申告をしなかった場合、以下のようなペナルティがあります。

① 無申告加算税

申告しなかった場合に課される罰則的な税金です。本来の納税額の15〜20%が加算されます(税務署から指摘される前に自主的に申告した場合は5%に軽減)。

② 延滞税

税金の支払いが遅れた日数分だけかかる、利息のようなものです。年利約2〜14%(年によって変動)がかかります。

③ 重加算税

意図的に収入を隠したり(脱税)した場合は、35〜40%という非常に重い加算税が課されます。税務署はクラウドソーシング会社や取引先企業から収入データを調査することができます。「バレないだろう」は絶対にNGです。

よくある質問

Q. 副業の収入が少ない場合でも申告は必要ですか?

A. 会社員の場合、副業の所得(収入−経費)が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。ただし住民税の申告が必要な場合もあります。フリーランス(個人事業主)の場合は、所得が基礎控除額を超えたら申告が必要です。基礎控除額は2025年改正で変更されていますので、国税庁サイトでご確認ください。

Q. クラウドソーシング(ランサーズ・クラウドワークスなど)の報酬は申告が必要ですか?

A. はい、必要です。クラウドソーシングの報酬も所得として申告する必要があります。ただし副業で年間20万円以下(会社員の場合)なら申告不要です。

Q. 源泉徴収されているから申告しなくていいのでは?

A. 源泉徴収されている場合でも、確定申告で正確な所得を計算し直す必要があります。経費を差し引いた後の所得が確定するのは自分だけが知っているため、場合によっては源泉徴収で払いすぎた税金が戻ってくることもあります。

Q. 確定申告は税理士に頼んだほうがいいですか?

A. 収入が複雑でなければ会計ソフトを使えば自分で対応できます。ただし売上が大きくなってきた(目安:年収500万円以上)、複数の事業をしている、節税を徹底したいという場合は税理士への依頼も検討しましょう。費用は年間3〜10万円程度が目安です。

Q. 開業届は出さないといけませんか?

A. 法律上は事業を始めてから1か月以内に開業届を提出することが求められています。罰則はありませんが、青色申告をするためには開業届が必要です。65万円控除を受けたいなら、開業届と青色申告承認申請書を早めに提出しましょう。

Q. 国民健康保険や国民年金は経費になりますか?

A. 経費ではなく「社会保険料控除」として所得から差し引くことができます。領収書や控除証明書を保管しておきましょう。

まとめ:確定申告は怖くない!早めの準備が成功の鍵

確定申告は最初こそ難しく感じますが、仕組みを理解してしまえばそれほど複雑ではありません。

  • フリーランスは所得48万円超、副業は所得20万円超で申告が必要
  • 青色申告なら最大65万円の特別控除がある → 絶対に使うべき
  • 経費をしっかり計上することで税金を大幅に減らせる
  • 会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使えば帳簿づけはほぼ自動化できる
  • 申告期間は毎年2月16日〜3月15日、遅れるとペナルティあり

フリーランスや副業で稼いでいくなら、確定申告から逃げることはできません。でも逆に言えば、経費・控除をうまく使えばサラリーマンよりも節税しやすいのもフリーランスの強みです。今年から正しく申告して、稼いだお金を最大限に手元に残しましょう。