Premiereを開くと、「生成延長」「文字起こし」「スピーチを強調」など、AIに関係する機能名がたくさん並んでいます。初心者の方は、どれが何をしてくれるのか、どれにお金(クレジット)がかかるのかが分かりにくいと感じるはずです。
この記事では、Adobe Premiere(旧Premiere Pro)のAI機能を1つずつ、何ができるか・どんなときに使うか・使うときの注意の順で整理します。機能と料金は2026年10月27日時点でAdobe公式サイトを確認した内容です。
※操作手順はAdobe公式ヘルプ(日本語版)の内容にもとづいています。画面の表示はバージョンによって変わることがあります。
Adobe Premiere(旧Premiere Pro)とは
Adobe Premiereは、動画編集の仕事で広く使われている編集ソフトです。以前は「Premiere Pro」という名前で知られていて、今でも検索や会話ではPremiere Proと呼ばれることが多くあります。Adobe公式サイトでは現在「Adobe Premiere」と表記されています。
料金は、買い切りではなく月額・年額のメンバーシップです。公式サイトでは無料体験も案内されています。AI機能を試すだけなら、まず無料体験で触ってみるのがおすすめです。

Premiereの主なAI機能の一覧
Adobe公式サイトで紹介されているAI機能は次のとおりです。どの機能も「作業の手間を減らす」ためのもので、編集の判断そのものを代わってくれるわけではありません。
| 機能 | できること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 文字起こしベースの編集 | 音声を文字にして、文章を見ながら編集する | トーク動画・インタビューのカット |
| スピーチを強調 | 雑音を減らして、声を聞き取りやすくする | スマホや安いマイクで録った音声 |
| AIマスク(オブジェクトマスク) | クリックで被写体をマスクし、動きに合わせて追跡する | 人物だけ色を変える、背景をぼかす |
| 生成延長 | クリップの長さをAIで伸ばす | あと少し映像が足りないとき |
| 言葉で素材を探す検索 | 「海辺を歩く人」のように説明して素材を探す | 素材が大量にあるとき |
| 映像エフェクト・効果音の生成 | タイムラインから映像エフェクトや効果音を作る | 素材が手元にないとき |
この中で、新しく映像や音を作る機能は「生成クレジット」を使うことがあります。クレジットについては、あとの章でまとめて説明します。
文字起こしベースの編集:文章を見ながらカット
何ができるか
動画の音声を自動で文字にして、その文章を見ながら編集できる機能です。公式サイトでは、文字起こしをもとに編集できる機能として紹介されています。
トーク中心の動画では、波形を見ながら「えー」や言い直しを探す作業がいちばん時間を取ります。文章で探せるようになると、どこで何を話しているかがひと目で分かるので、不要な部分を見つけやすくなります。
どこから使うか
Adobe公式ヘルプでは、素材を読み込むときに自動で文字起こしする手順が紹介されています。
- Premiereでプロジェクトを新規作成し、読み込むメディアを選ぶ
- 画面右上の読み込み設定で「自動文字起こし」を有効にし、「文字起こしの環境設定」を読み込むすべてのクリップを文字起こしする設定にする(必要に応じて「言語」「スピーカーのラベル付け」も設定)
- 「読み込み」を選ぶ
- 文字起こしが終わったら、テキストベースの編集のワークスペースを開いて内容を確認する
使うときの注意
- 文字起こしの精度は、録音の状態や話し方で変わります。固有名詞や専門用語は間違えやすいので、最後に必ず見直しましょう
- 文章を整えるだけで満足せず、実際に再生して、つなぎ目が不自然でないかを確認します
- 字幕として使うなら、改行や表示時間の調整は人の手で行います
文字起こし編集は、動画編集を始めたばかりの人が最初に使いたいAI機能です。トーク動画や講座動画なら、作業時間が大きく変わります。
スピーチを強調:録音した声を聞きやすくする
何ができるか
公式サイトでは、背景の雑音を減らして、声をはっきり聞こえるようにする機能として紹介されています。エアコンの音や部屋の響きが入った音声を、録り直さずに整えられる場面があります。
使い方
- タイムラインで、話し声が入ったオーディオクリップを選ぶ
- 「エッセンシャルサウンド」パネルを開き、「強調」を選ぶと分析が始まる(処理中も編集を続けられる)
- 終わったら「ミックス量」のスライダーで、強調した音と元の音のバランスを調整する
(Adobe公式ヘルプより)
使うときの注意
- 強くかけすぎると、声がこもったり機械的な響きになったりすることがあります。必ずヘッドホンで聞いて、強さを調整しましょう
- 雑音が大きすぎる録音は、AIでも完全には直せません。できるだけ静かな場所で録るほうが、結果は安定します
- BGMや効果音を足す前の、声だけの状態で整えると、仕上がりを比べやすくなります
機能の使いどころは、スマホやUSBマイクで録った声です。音声は、映像より視聴者が気にしやすい部分なので、最初に整えておくと動画全体の印象が上がります。
AIマスク:クリックで被写体を切り抜いて追跡
何ができるか
人や物をクリックすると、AIが輪郭を見つけてマスク(その部分だけを選択する範囲)を作り、映像の動きに合わせて追いかける機能です。公式サイトでは、クリックで被写体をマスクして追跡できる機能として紹介されています。
例えば、人物だけ明るくする、背景だけ色を変える、人物の後ろにテキストを入れる、といった編集で、手作業のマスク作りの手間を減らせます。
使うときの注意
- 髪の毛や動きの速い被写体、被写体が他の物と重なる場面では、マスクがずれることがあります。再生して、ずれていないかを確認しましょう
- ずれた部分は、手動での修正が必要になることがあります。全自動で完璧にはならない前提で使います
- 長いクリップの処理は、パソコンへの負荷が大きくなりがちです。動作が重いときは、パソコンの設定を見直しましょう
動作が重いときの設定は、Premiere Pro推奨設定で解説しています。パソコンの性能が足りない場合は、動画編集におすすめのパソコンも参考にしてください。
生成延長:映像が少し足りないときに伸ばす
何ができるか
クリップの終わりや始まりが足りないときに、AIが映像を作って長さを伸ばす機能です。公式サイトでも、クリップを延ばせる機能として紹介されています。BGMの長さに合わせたい場面や、あと少し映像が欲しいときに便利です。
使い方
- シーケンスの中で、伸ばしたいクリップを選ぶ(動画は2秒以上、音声は3秒以上のクリップが対象)
- ツールバーで「生成延長ツール」を選ぶ
- クリップの端をつかんで、伸ばしたい長さまでドラッグする
Adobe公式ヘルプによると、伸ばせるのは動画は最大2秒、音声は最大10秒までです。AIが作った部分にはラベルが付き、ラベルを右クリックすると「再生成」で別の案を作ったり、「オリジナルに戻す」で元に戻したりできます。
生成クレジットに注意
生成延長のようにAIが新しく素材を作る機能は、AdobeのFireflyという生成AIの技術を使い、生成クレジットを消費します。クレジットには月ごとの上限があります。
| プラン | 料金(税込) | 生成クレジット |
|---|---|---|
| Premiere 単体プラン | 月3,280円(年間プラン・月々払い) | 月25 |
| Creative Cloud Pro | 月9,080円(通常価格) | 月4,000 |
※料金は2026年10月27日時点の公式サイトの表示です。キャンペーン価格や学生・教職員向けの価格は載せていません。最新の金額は公式サイトで確認してください。
1回の生成でいくつのクレジットを使うかは、機能や映像の画質、長さによって変わるとみられます。この記事では、公式ページで確認できなかったため具体的な数字は載せていません。使う前に、Premiere内の表示かAdobeの公式ヘルプで、消費量を確認すると安心です。
使うときの注意
- 生成された映像は、元の映像とつなぎ目が不自然になることがあります。必ず再生して確認しましょう
- 動きの大きい場面は不自然になりやすいかもしれません。まずは短い延長で試すのが無難です
- クレジットは月ごとに決まっているので、試しに何度も生成しすぎないようにしましょう
- 仕事の動画で使う場合は、Adobeの利用条件やクライアントのルールを事前に確認します
言葉で素材を探す検索:素材の整理を助ける
撮影した素材が多いと、「あのカットはどこだっけ」と探すだけで時間がかかります。公式サイトでは、探したい映像を言葉で説明して素材を検索できる機能が紹介されています。
例えば、「会議室」「屋外でのインタビュー」のように、場面の特徴を文章で入力して探す使い方です。ファイル名を細かく付けていなくても、見つけやすくなります。
ただし、検索結果が思った通りに出ない場合もあります。AIの検索に頼りきらず、フォルダ分けやファイル名のルールも合わせて決めておくと、素材の管理が楽になります。
映像エフェクト・効果音の生成
公式サイトでは、タイムラインから映像エフェクトや効果音を生成できる機能も紹介されています。素材サイトで探す手間を減らし、編集の流れの中で必要な素材を作れるのが特徴です。
この機能も、新しく素材を作るタイプです。生成クレジットを使うかどうかは、公式ページでは区分が明示されていなかったため、使う前に公式の案内で確認してください。生成した素材を公開する動画や仕事で使う場合は、利用条件も合わせて確認しておきましょう。
無料でも使える?料金とクレジットの考え方
Premiereには買い切りがなく、月額・年額のメンバーシップになります。AI機能を使う前に、次の点を整理しておくと迷いません。
| 迷いやすい点 | 考え方 |
|---|---|
| まず試したい | 7日間の無料体験で、文字起こし編集やスピーチを強調を試す |
| 生成クレジットが不安 | 生成延長など「作る」機能は後回しにして、まず「作業を楽にする」機能から使う |
| 本格的にAIを使いたい | 生成クレジットが月4,000のCreative Cloud Proと、月25の単体プランで比べる |
| 解約したくなった | 購入から14日以内なら解約して全額返金を受けられると、公式サイトで案内されています |
まず「文字起こし」「スピーチを強調」「AIマスク」の3つから使い始めるのがおすすめです。生成クレジットを意識せずに、作業時間を減らせる場面が多いからです。
初心者向け:AI機能を使う順番
全部の機能を一度に覚える必要はありません。次の順番で、1つずつ増やしていきましょう。
- 1. 文字起こしを使って、トーク部分のカットを作る
- 2. スピーチを強調で、声を聞きやすくする
- 3. 必要なときだけAIマスクで、被写体を切り抜く
- 4. 余裕ができたら、生成延長や素材の生成を試す
動画編集×AI全体の流れは、動画編集×AIの始め方にまとめています。Premiere以外のソフトとの比較も載せているので、合わせて読むと選びやすくなります。
AI機能を使うときの共通の注意点
AIの出力は必ず人が確認する
文字起こしの誤字、マスクのずれ、生成映像の違和感など、AIの結果には間違いや不自然な部分が混ざることがあります。最後は人の目と耳で確認する習慣をつけましょう。
仕事で使うなら条件を確認する
生成AIで作った素材を、お金をもらう仕事で使うときは、Adobeの利用条件とクライアントのルールを確認します。AIの利用を制限している会社や案件もあります。
構成や演出は人が考える
AIは作業を速くしますが、どこを残してどこを切るか、どんなテンポにするかは人が決める部分です。AIで浮いた時間を、構成や演出を考える時間に使いましょう。
Premiereを仕事にしたい人へ
AI機能を使いこなせても、仕事として受けるにはカット割りやテロップの見せ方、納品までの流れといった基本スキルが必要です。独学で迷ったら、スクールで基礎を固める方法もあります。
オンラインの動画編集スクールSTUDIO USでは、Premiereでの編集の基礎から、After Effectsを使ったモーショングラフィックス、案件の取り方まで学べます。動画クリエイター総合コースは国の補助金・給付金の対象にもなっているため、条件を満たせば受講料の負担を大きく減らせます。
STUDIO USの詳細を見てみる:公式サイトはこちら
Premiere AI機能に関するよくある質問
Q:Premiere ProとAdobe Premiereは別のソフトですか?
同じソフトです。以前は「Premiere Pro」という名前でしたが、Adobe公式サイトでは現在「Adobe Premiere」と表記されています。この記事では、検索で使われる名前も含めて「Adobe Premiere(旧Premiere Pro)」と書いています。
Q:生成クレジットがなくなったらどうなりますか?
具体的な扱いは、Adobeの公式案内で確認してください。クレジットの上限は月ごとに決まっているため、使う前に残りを確認する習慣をつけると安心です。文字起こしやスピーチを強調など、クレジットの区分が公式ページで明示されていない機能も、使う前に確認しましょう。
Q:パソコンの性能が低くてもAI機能は使えますか?
動作はしても、AIマスクのように負荷が大きい処理は重くなりやすいです。設定の見直しはPremiere Pro推奨設定、パソコン選びは動画編集におすすめのパソコンで解説しています。
Q:初心者は有料プランを契約するべきですか?
まずは7日間の無料体験で、普段の動画に近い素材で試すのがおすすめです。使いたい機能が決まってから、単体プランかCreative Cloud Proかを選びましょう。
まとめ:作業を楽にする機能から使おう
- PremiereのAI機能は、文字起こし編集・スピーチを強調・AIマスク・生成延長・素材検索・エフェクトや効果音の生成
- 最初は、文字起こし・スピーチを強調・AIマスクから。生成クレジットを使う機能は、あとから試す
- 生成クレジットは、単体プランが月25、Creative Cloud Proが月4,000
- AIの結果は必ず確認し、仕事で使うなら利用条件も確認する
AIは、編集の面倒な部分を引き受けてくれる道具です。まずは普段の動画で、文字起こしから試してみてください。
※記事内の料金・機能は2026年10月27日時点のAdobe公式サイト(Adobe Premiere)の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
※写真の出典:Shixart1985「Middle-aged businesswoman typing on laptop at home office」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。