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「生成AIを体系的に学びたいけれど、スクールは高い」「国の補助金が使えると聞いたけれど、どの制度が自分に当てはまるのか分からない」という人は多いのではないでしょうか。
この記事では、生成AIの学習に使える国の制度のうち、経済産業省のリスキリング支援事業と厚生労働省の教育訓練給付制度を中心に、対象者・補助率・手続きの流れ・対象講座の探し方・注意点を整理します。制度ごとに「誰が使えるか」「いくら戻るか」「いつ戻るか」が大きく違います。内容は2026年10月27日時点の公式ページをもとにしています。

生成AIの学習に使える国の制度は3種類
「リスキリング補助金」という言葉はよく聞きますが、実際には仕組みの違う制度がいくつかあります。まずは全体像をつかみましょう。
| 制度 | 所管 | 使う人 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 | 経済産業省 | 在職中で、転職を目指す個人 | 講座を修了すると費用の一部が戻り、転職して1年続くとさらに戻る |
| 教育訓練給付制度(一般・特定一般・専門実践) | 厚生労働省(ハローワークで申請) | 雇用保険の加入期間などの条件を満たす個人 | 指定された講座の受講費用の一部が給付される |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 事業主(会社) | 会社が従業員に訓練を受けさせたときの費用や賃金の一部が助成される |
個人が自分で使えるのは上の2つ、3つめは会社が使う制度です。人材開発支援助成金は事業主向けの制度で、個人が直接申請するものではありません。
経産省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」
対象になる人
経済産業省のリスキリング支援事業の受講者向けページによると、対象は在職中で、雇用主の変更を伴う転職を目指している人です。申し込み時と、キャリア相談の初回面談時に在職中であることが必要です。講座によっては事前の知識が求められる場合もあります。
つまり、今の会社で働きながら、転職を前提に学ぶ人向けの制度です。転職の予定がない人や、すでに退職している人は対象にならないため、この点は最初に確認しておきましょう。
補助率と上限
| 段階 | 条件 | 補助の内容 |
|---|---|---|
| 1段階め | 講座を修了する | 受講費用(税別)の1/2相当額、上限40万円 |
| 2段階め | 本事業の職業紹介などで転職し、同じ転職先で1年間継続して就業する | 追加で受講費用(税別)の1/5相当額、上限16万円 |
| 合計 | 両方を満たす | 最大56万円(受講費用の最大70%) |
公式ページには、直接の補助対象は個人ではなく、事業に採択された「補助事業者」(スクールなど)だと書かれています。受講者には、補助によって軽くなった費用負担という形で反映されます。補助額や受講料は事業者ごとに異なるので、申し込む前に必ず事業者に確認してください。
手続きの流れ
- 1. キャリア相談(無料):専門家とキャリアの棚卸しやゴール設定をして、講座の方向性を決める
- 2. 受講:選んだ講座を受講する
- 3. 修了:修了すると、事業者への補助(1/2相当額)が行われる
- 4. 転職:転職支援(無料)を受けて、新しい雇用契約を結ぶ。ここでの転職は、本事業の職業紹介による転職、または支援事業者が自社で雇用する転職を指す
- 5. 追加支給:転職後1年間、継続して就業していることが確認されると、追加の補助(1/5相当額)が行われる
追加の補助には、転職のしかたにも決まりがあります。公式ページでは、転職は「本事業の職業紹介による転職」などと説明されています。自分で探した会社に転職した場合に対象になるかは、記載がありません。事業者に確認が必要です。
受付状況と事業期間
同事業の事業者向けページでは、公募は一次から六次まで行われ、六次は2025年8月4日から9月16日でした。七次については「未定」とされています。一方で、2026年10月26日付で「事業期間の1年間の延長について」のお知らせが出ています。
ただし、これは事業の期間に関するお知らせです。個々の講座の受付状況や、受講者の修了期限がどうなるかは、事業者ごとに確認が必要です。公式ページで確認できる範囲では、個人の修了期限は分かりませんでした。申し込み前に、そのスクールへ「いつまでに修了すれば対象か」を聞きましょう。
厚労省「教育訓練給付制度」
厚生労働省の教育訓練給付制度のページには、給付の種類が3つ紹介されています。対象講座が国に指定されていて、受講者が条件を満たしている場合に、受講費用の一部が給付される仕組みです。転職を前提にしない点が、経産省の事業との大きな違いです。
一般・特定一般・専門実践の違い
| 種類 | 給付率と上限 | 給付のタイミング |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費用の20%、上限10万円 | 修了後 |
| 特定一般教育訓練 | 40%、上限20万円。資格取得等のうえ修了後1年以内に雇用された場合は合計50%、上限25万円 | 修了後 |
| 専門実践教育訓練 | 50%、年間上限40万円。資格取得等のうえ修了後1年以内に雇用された場合は合計70%(年間上限56万円)。さらに賃金が受講前より5%以上上がった場合は合計80%(年間上限64万円) | 受講中に6か月ごと |
※特定一般の50%、専門実践の70%・80%は、令和6年(2024年)10月以降に開講する講座の場合です(厚生労働省のページより)。
一般か特定一般か専門実践かは講座ごとに国が指定しているので、自分で選ぶことはできません。生成AIに関する講座では、プログラミングやデータ分析と組み合わせた内容のものが対象になっている例があります。
受け取れる人の条件
ハローワークインターネットサービスの教育訓練給付金のページには、次の条件が書かれています。
- 在職中の人:受講開始日に、雇用保険の加入期間が3年以上ある
- 離職した人:離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、加入期間が3年以上ある
- 初めて給付を受ける人は特例で、加入期間が専門実践は2年以上、特定一般・一般は1年以上でよい
- 受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けたことがある人は、支給されない
雇用保険の加入期間は、働き方や転職の経歴によって異なります。自分が当てはまるかは、お住まいを管轄するハローワークに聞くのが確実です。
申請の流れ
- 受講前(専門実践・特定一般):ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受けたうえで、受講開始日の2週間前までに受給資格の確認手続きを行う
- 受講後:特定一般・一般は、訓練修了日の翌日から1か月以内に申請する。専門実践は受講開始から6か月ごとに申請する
専門実践と特定一般では受講前の手続きが必要です。申し込み後に気づいても間に合わない場合があるので、先にハローワークへ相談するのが安全です。一般教育訓練の受講前の手続きは、このページには書かれていません。
会社員は「人材開発支援助成金」にも注意
厚生労働省の人材開発支援助成金のページによると、人材開発支援助成金は、事業主が雇っている従業員に職務に関連した訓練を計画に沿って行ったとき、訓練費用や訓練中の賃金の一部が助成される制度です。7つのコースがあり、デジタルや高度な人材育成に関するものや、新規事業のためのリスキリング支援のコースなどが含まれます。
大切なのは、申請するのは事業主(会社)で、従業員個人が受け取る補助金ではないという点です。自分でスクールに申し込んで費用を補助してもらう制度ではありません。会社に生成AIの研修を取り入れてもらいたい場合に、会社側が検討する制度だと考えてください。助成の割合は、コースや条件によって異なるため、このページでは数字を紹介しません。詳しくは都道府県労働局などに確認してください。
2つの制度を比べる
| 経産省のリスキリング支援事業 | 教育訓練給付制度 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 在職中で転職を目指す人 | 雇用保険の加入期間などの条件を満たす人 |
| 転職の予定 | 必要 | 不要(専門実践の70%・80%や特定一般の50%は、資格取得等と修了後の雇用が条件) |
| 最大の補助 | 56万円(受講費用の最大70%) | 専門実践で年間64万円(最大80%) |
| 申請先 | 補助事業者(スクールなど) | ハローワーク |
| 対象講座の決まり方 | 採択された補助事業者の講座 | 国が指定した講座 |
| 最初にやること | 事業者でキャリア相談 | ハローワークで受給資格や講座の指定を確認 |
転職を考えているなら経産省の事業、転職は考えずに学び直しをしたいなら教育訓練給付制度、というのが基本の考え方です。ただし、どちらにもそれぞれの対象講座があり、すべての生成AI講座が使えるわけではありません。
対象講座の探し方
経産省の事業の場合
経済産業省のリスキリング支援事業の受講者向けページの「補助事業者を探す」ページで、職種や取得したいスキルから事業者と講座を探せます。気になる事業者の「詳細を見る」から事業者のページに移動して、申し込みや問い合わせをします。どの講座が合うか分からないときは、最大4問に答える「カンタン職種診断」も使えます。
教育訓練給付制度の場合
厚生労働省のページでは、指定された講座を教育訓練講座検索システム(kyufu.mhlw.go.jp)で検索できると案内されています。2026年10月1日時点で新しく指定された講座の一覧も公開されています。気になる講座があれば、指定の有無と、自分の受給資格をハローワークで確認しましょう。
対象と明記しているスクールの例
スクールの公式ページで制度の対象と書かれている例を、2つ挙げます。ここで紹介するのは例であり、おすすめや優劣の比較ではありません。料金や条件は変わるので、必ず各公式ページで最新の内容を確認してください。
| スクール・講座 | 公式ページに書かれている制度との関係 |
|---|---|
| ヒューマンアカデミー「生成AI・ノーコード講座」 | ヒューマンアカデミーの対象講座一覧に、経産省のリスキリング事業の対象講座として掲載。通常受講料385,000円(税込)に対し、補助金最大70%適用後の実質が140,000円(税込)と表示されている。 |
| キカガク「AI・データサイエンス人材育成コース」 | キカガクの個人向けページに、厚生労働省に認定されたコースで、国の給付金を利用すると卒業後に受講料の最大80%が還付されると記載。 |
ヒューマンアカデミーのページでは、受講修了で50%、受講後に転職して1年間継続して在籍するとさらに20%が戻り、合計で最大70%(最大56万円)という説明になっています。キカガクのコースは、生成AIを活用しながらPythonやデータ分析、機械学習を学ぶ内容で、非エンジニア向けの生成AI入門とは性格が違う点に注意してください。
ほかのスクールの料金や学べる内容は、生成AIスクールおすすめ比較で紹介しています。補助金の対象かどうかは、各スクールの公式ページの記載をもとに確認してください。
申し込む前に知っておきたい注意点
費用は先に全額払う形が多い
ヒューマンアカデミーの対象講座一覧には、手順として「受講料のお支払い(総額)」のあとに、修了条件を満たして振込に必要な書類を提出する流れが書かれています。つまり受講料はいったん全額を自分で支払い、補助は後から戻る形です。ほかの事業者でも支払いのタイミングは異なる可能性があるため、支払い方法と戻るまでの時期を必ず確認してください。経産省のページには支払い時期の記載がありません。
受付を終了している講座がある
同じ一覧ページには「講座によっては、受付を終了している場合があります」と書かれています。公式の対象講座一覧に載っていても、申し込めるとは限りません。気になる講座を見つけたら、最新の受付状況をスクールに問い合わせるのが確実です。
修了や転職には条件がある
補助や給付は、講座を修了したり、修了後に転職したり、一定期間働き続けたりすることが条件です。条件を満たせなかった場合に戻らない金額が出るため、「最低限戻る金額」と「すべての条件を満たした場合の金額」を分けて考えておきましょう。
制度の併用は事前に確認する
経産省の事業と教育訓練給付制度を同じ講座で重ねて使えるかは、国の公式ページで確認できませんでした。併用できると思い込まず、スクールの窓口とハローワークの両方に確認してください。
料金表記の見方
「実質〇〇円」という表示は、補助や給付の条件をすべて満たした場合の金額です。受講料の税込・税別や、入学金などの別料金が含まれているかどうかも、スクールによって違います。総額で比べるようにしましょう。
制度を使わずに、安く始める選択肢
ここまで見てきたように、補助金や給付金には、転職の予定や雇用保険の加入期間、対象講座かどうかといった条件があります。手続きの手間も小さくありません。そこで、まずは制度を使わずに低価格で学び始めるという選択肢もあります。
シンプルAIアカデミーは、月額3,980円(税込)、入会金0円で、全19コース・310レッスンを学べるオンラインスクールです。7日間の無料トライアルがあり、期間内に解約すれば料金はかかりません(申し込みにはクレジットカードの登録が必要で、無料期間のあとは月額3,980円(税込)で自動更新されます)。なお、この記事で紹介した国の制度の対象講座ではないため、補助金や給付金は使えない前提でお考えください。「まず少額で試して、必要になったら制度対象の講座を検討する」という順番もあります。
生成AIをまず無料で触ってみたい人は、ChatGPTの使い方完全ガイドも参考にしてください。
リスキリング補助金に関するよくある質問
Q:転職しない場合も補助金は使えますか?
経産省のリスキリング支援事業は、雇用主の変更を伴う転職を目指している人が対象です。転職を前提にしない場合は、教育訓練給付制度のほうが当てはまる可能性があります。ただし、雇用保険の加入期間などの条件と、対象講座かどうかを確認する必要があります。
Q:会社員でも使えますか?
経産省の事業は、在職中の人が対象です。教育訓練給付制度も、在職中の人は受講開始日に雇用保険の加入期間が3年以上あること(初めて受ける場合は特例あり)が条件です。会社が研修として使う人材開発支援助成金は、事業主が申請する制度で、個人向けではありません。
Q:生成AIの講座はどれも対象ですか?
いいえ。対象かどうかは講座ごとに決まります。経産省の事業は採択された事業者の講座、教育訓練給付制度は国が指定した講座だけです。スクールの公式ページと、教育訓練講座検索システムなどで確認してください。
Q:受講料はいつ戻りますか?
制度や事業者によって違います。ヒューマンアカデミーの例では、受講料を先に支払い、修了などの条件を満たして書類を出したあとに補助が戻る流れです。教育訓練給付制度では、修了後や受講中の6か月ごとなど、給付の種類によって異なります。
まとめ:自分が使える制度を最初に確かめよう
- 経産省の事業は、在職中で転職を目指す人向け。修了で1/2(上限40万円)、転職後1年継続で追加1/5(上限16万円)、最大56万円
- 教育訓練給付制度は、一般20%・特定一般40%・専門実践50%(条件により最大70〜80%)。雇用保険の加入期間などの条件がある
- 人材開発支援助成金は事業主向けで、個人が申請する制度ではない
- 対象講座は、経産省の事業は補助事業者の検索、給付制度は教育訓練講座検索システムで探す
- 費用は先に全額払う形のことがあり、受付を終了した講座もあるため、申し込み前に確認する
制度は条件や受付状況が変わります。気になる講座が見つかったら、まず公式ページとハローワークや事業者の窓口で、自分が対象になるかを確かめることから始めましょう。
※記事内の情報は2026年10月27日時点の経済産業省・厚生労働省・ハローワークインターネットサービスおよび各スクールの公式サイトの内容です。制度や料金、受付状況は変わることがあるため、最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。補助金・給付金を受けられることを保証するものではありません。
※写真の出典:Shixart1985「Middle-aged businesswoman typing on laptop at home office」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。