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「生成AIで作った画像や文章を、ブログや副業、会社の資料に使っても大丈夫?」「有名なキャラクター風の絵を作ったら、問題になる?」と不安に感じる人は多いと思います。便利な一方で、著作権のルールがよく分からないまま使うのは心配ですよね。
この記事では、国(文化庁)が公表している公式資料をもとに、生成AIと著作権の基本の考え方、商用利用で気をつけたいこと、トラブルを避けるためのチェックリストを、初心者向けにまとめます。内容は2026年10月28日時点で確認した文化庁の資料です。
先にお伝えしておくこと:この記事は法律の専門家による解説ではありません。個別の案件で「これは大丈夫」と保証するものでもありません。実際に判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。

まず押さえたい:著作権の話は3つに分けて考える
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会)では、生成AIと著作権の関係を、次の3つの観点に分けて整理しています(概要版より)。
| 観点 | どんな話? | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 1. AIの開発・学習の段階 | AIを作るために、画像や文章などを学習用データとして集めて使うこと | 考え方の概要だけ紹介 |
| 2. 生成・利用の段階 | AIで画像などを作り、公開したり販売したりすること | 主役。利用者に一番関係が深い |
| 3. AI生成物は「著作物」か | AIが作ったものに、著作権が認められるか | あわせて解説 |
文化庁の資料では、これらは行われている行為も、関係する条文も違うため、分けて考える必要があるとされています。たとえば「AIの学習に使われたかどうか」と「自分が作った画像を使って問題ないか」は、別の話です。この区別を知っておくだけで、ネットの情報がぐっと読みやすくなります。
なお、この「考え方」自体には法的な拘束力はなく、特定の生成AIについて確定的な法的評価を行うものでもない、と文化庁の資料に明記されています。最終的には、個別の事案ごとに裁判所が判断するものです。

AIの学習と著作権:利用者が知っておく範囲
生成AIは、大量の画像や文章を学習して作られています。「勝手に学習に使われているのでは?」という声もありますが、文化庁の資料では、この部分は次のように説明されています。
- AI開発のための情報解析など、著作物の「享受」を目的としない利用は、原則として著作権者の許諾なく行える(著作権法第30条の4)
- ただし、特定のクリエイターの作品の創作的表現をそのまま出力させることを目的にした追加学習など、享受の目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合には、この規定は適用されない
- 海賊版と知りながら、そのサイトから学習データを集めるような行為は、厳に慎むべきとされている
つまり、学習段階は「何でも自由」でも「すべて禁止」でもなく、目的や態様によって判断が分かれるというのが文化庁の整理です。AIを使うだけの利用者がここで責任を問われることは通常ありませんが、「学習に使われた作品に似た画像が出てくることがある」という仕組みは知っておきましょう。次の章の、利用時の注意につながります。
生成・利用の段階:侵害になるかは「類似性」と「依拠性」で見る
AIで作った画像をSNSに載せたり、作ったイラストを販売したりする場合は、人が描いた絵と同じ基準で、著作権侵害かどうかが判断されると文化庁の資料に書かれています。
侵害の判断に使われる2つの要件
| 要件 | 意味(文化庁の資料より) | たとえば |
|---|---|---|
| 類似性 | 既存の著作物と、創作的な表現が共通していること | 既存のキャラクターと見分けがつかないほど似た絵になった |
| 依拠性 | 既存の著作物をもとに創作したこと | そのキャラクターを知っていて、狙って作らせた |
資料では、類似性と依拠性の両方が認められ、権利制限規定の対象外である場合に、著作権侵害となるとされています。逆に、どちらか一方でも認められなければ、既存の著作物の著作権侵害にはなりません。
AIを使うと、知らなくても依拠性が認められることがある
ここが生成AIの注意点です。文化庁の資料では、依拠性について次のように説明されています。
- 利用者が既存の著作物にアクセスできたことや、生成物が既存の著作物と高度に似ていることなどから、依拠性があると推認される場合がある
- AIの学習に使われた著作物であれば、利用者がその著作物を知らなくても、通常は依拠性があったと推認される(ただし、学習した著作物の創作的表現が出力される状態になっていない場合は、利用者がそれを示して依拠性がないと判断される余地もある)
チェックリスト&ガイダンス(令和6年7月)でも、「生成AIを利用すると、利用者が既存の著作物を知らなくても、生成・利用が著作権侵害になることがある」という仕組みを理解して使うよう求められています。「知らなかった」だけでは安心できない点に気をつけましょう。
「作る」ことと「使う」ことは別に考える
同じ資料では、AIで画像を作ること自体と、それをネットに公開したり販売したりすることは、別々に適法性を判断するとされています。
- 個人が楽しむために作って、自分で鑑賞するだけなら、「私的使用」の範囲として許諾が不要な場合がある
- 一方、インターネットでの公開や、複製物の販売などは、そうした例外の範囲外になることが多いと考えられる
副業やブログ、会社の資料に使うときは、後者にあたります。「作れた=使ってよい」とは限らないので、公開する前に確認するクセをつけましょう。
「作風」が似ているだけなら?
文化庁の資料では、著作権法が守るのは「創作的な表現」であって「アイデア」ではないため、いわゆる「作風」がアイデアにとどまる場合は、似ていても著作権侵害にはならない、と説明されています。ただし、「作風」と「創作的表現」の線引きは事案ごとに判断されるもので、特定の作家の作品の表現が直接感じ取れるような生成物は、侵害になり得るとされています。
AIが作ったものに著作権はある?
次は、「自分がAIで作った画像や文章は、自分の著作物になるの?」という疑問です。文化庁の資料の考え方は、次のとおりです。
- 人が指示をほとんど出さず、「生成」ボタンを押すだけでAIが作ったものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物にあたらないと考えられる
- 人が思想や感情を表現するための「道具」としてAIを使ったと認められれば、著作物にあたり、AIの利用者が著作者になると考えられる
- 著作者になれるのは人(自然人または法人)だけで、AIそのものが著作者になることはない
「道具として使った」かどうかの見られ方
人が道具として使ったかどうかは、創作意図があるか、そして創作的寄与と認められる行為をしたか、で判断されます。資料では、判断の要素として次のような例が挙げられています。
| 要素 | 文化庁の資料での扱い |
|---|---|
| 指示(プロンプト)の内容 | 創作的表現を具体的に示す詳細な指示は、創作的寄与と評価される可能性を高める。長い指示でも、アイデアを示すだけなら判断には影響しない |
| 生成を何度も試すこと | 試行回数が多いこと自体は影響しない。結果を見て指示を直しながら繰り返すような場合には、著作物性が認められることもある |
| 複数の候補から選ぶこと | 単に選ぶだけでは、創作的寄与の判断に影響しない |
| 人が加筆・修正すること | 創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分は、通常、著作物性が認められる |
まとめると、AI生成物かどうかで一律に決まるのではなく、個別の事情で判断されるというのが資料の立場です。「AIで作った=著作権なし」とも「自分が作った=必ず著作権あり」とも、言い切れません。自分で手を加えた部分が多いほど、自分の創作といえる可能性は高まると考えられます。
よくある混同に注意
文化庁の資料は、次の2つを別の問題として分けています。
- AI生成物が著作物になるか(自分に著作権が生まれるか)
- AI生成物の生成・利用が他人の著作権を侵害するか
たとえば、自分の著作物と認められる場合でも、既存の著作物に似ていて依拠性もあれば、他人の著作権の侵害になり得ます。「自分に権利があるから、何を作っても大丈夫」とはなりません。
商用利用の考え方:「サービスの規約」と「著作権」は別の話
「このAIは商用利用OK」と書かれているのを見たことがあるかもしれません。ここで、2種類のルールが関わっていることを整理しておきましょう。
| ルール | 決めるもの | 確認すること |
|---|---|---|
| サービスの利用規約 | AIサービスの提供会社と、あなたの間の約束 | 商用で使ってよいか、出力物の権利は誰のものか、禁止されている使い方は何か |
| 著作権などの法律 | 既存の作品の作者など、第三者の権利 | 生成物が既存の著作物に似ていないか(類似性・依拠性) |
規約で商用利用が認められていても、第三者の権利を侵害しない保証にはなりません。規約はあくまで、サービス提供会社との関係を決めるものだからです。文化庁のチェックリストでも、利用前に学習済みモデルに関する情報と利用規約を確認するよう求められています。規約によっては、他人の著作物を入力することを禁止していることもあります。
実際に、サービスによって規約の書き方はさまざまです。たとえば、Microsoftのサービス規約(AIサービスの条項)には、出力の所有権を主張しないが、知的財産権への影響や出力の有用性は利用者が自分で判断する、という趣旨の記載があります(2026年10月27日に確認)。AdobeはFireflyのモデルについて「商用利用に適している」と案内していますが、他社のモデルを選べる機能は別の条件です。このように、同じ「商用利用」でもサービスごとに条件が違うため、使うサービスの規約を自分で読むのが基本です。
主要な画像生成AIの特徴は画像生成AIおすすめ比較で、生成AIの基本は生成AIとは?初心者向けガイドで解説しています。
トラブルを避けるための具体的な注意点
ここからは、利用者が実際にやりがちなケースごとに、注意したい点をまとめます。どれも「必ず違法」という意味ではなく、リスクが高まりやすい使い方の整理です。
1. 既存の作品・キャラクター・作家名を指定したプロンプト
「〇〇(人気アニメのキャラクター名)を描いて」「△△(特定の作家)の作品そっくりに」といった指示は、特に注意が必要です。文化庁のチェックリストでは、次のように説明されています。
チェックリスト&ガイダンス(令和6年7月)の趣旨
生成AIへの指示として既存の著作物そのものを入力したり、既存の著作物の題号(タイトル)やキャラクター名などの特定の固有名詞を入力したりした場合は、利用者が既存の著作物を認識していたことを推認させる間接事実となり、依拠性が認められやすくなると考えられる。
つまり、固有名詞を入れて似たものを作ると、「知らなかった」という言い訳が通りにくくなるということです。資料は、利用者に対して、既存の著作物と類似したものを意図した生成は行わないよう求めています。
2. 既存の画像や文章をそのまま読み込ませる
画像から画像を作る機能などで、既存の著作物を入力する場面があります。資料では、入力すること自体は原則として許される場合が多いとされる一方で、入力した既存の著作物と似たものを作らせる目的で入力する場合は、許諾が必要になることがあると説明されています。他人のイラストや写真を「参考に」と読み込ませるときは、目的を考えましょう。
3. ロゴ・商標、人物の写真・肖像、有名人の名前や声
文化庁の資料は、著作権(財産権)を中心に検討したものです。そのため、会社のロゴなどの商標、人の顔や姿に関する肖像権、有名人の名前や顔が持つ経済的な価値にかかわる権利(パブリシティ権)などは、この資料では扱われていません。著作権とは別の権利が関わることがありますので、実在の人物や企業のロゴ・商品を使う場合は、別途確認が必要です。
声についても同様です。文化庁の資料では、俳優・声優などの声を含む実演やレコードの利用とAIとの関係は、今後、独自に検討すべき点があるかを含めて議論を続けるとされています。他人の声をまねるような使い方は、少なくとも「よく分からない領域」として慎重に扱うのが安全です。
4. 生成物をそのまま公開・販売しない
文化庁のチェックリストでは、AI生成物を利用する前に、既存の著作物と似ていないかを確認することが勧められています。確認方法の例として、インターネット検索(文章検索・画像検索)の活用が挙げられています。公開前に、画像検索などで似た作品がないかを確かめるだけでも、リスクは下げられます。
5. 生成の過程を残しておく
依拠性がないことを後から説明できるよう、生成に使ったプロンプトなど、生成の過程を確認できる状態にしておくよう努めることが望ましいと、資料に書かれています。スクリーンショットやプロンプトの保存を、習慣にしておくと安心です。
6. 「画風だから大丈夫」と決めつけない
著作権は、作品そのものの「創作的な表現」に及びます。画風や作風といった「アイデア」は対象外ですが、特定の作品が直接感じ取れるほど似ていれば話が別、というのは前の章で見たとおりです。結果の見た目で判断しましょう。
トラブルを避けるチェックリスト
文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」の利用者向けの項目をもとに、使う前・使うとき・公開前に確認したいことを整理しました。資料には、すべてを実行すれば責任を問われない、という意味ではない旨も書かれています。あくまで、リスクを下げるための目安です。
| タイミング | チェック項目 |
|---|---|
| 使う前 | ・利用するサービスの利用規約を読んだ(商用利用の可否、禁止事項) ・生成AIが、学習した作品に似たものを出すことがあると理解している ・会社で使う場合は、社内のルールを確認した |
| 作るとき | ・既存の作品名・キャラクター名・作家名を指定していない ・他人の作品を、似たものを作らせる目的で入力していない ・使ったプロンプトや生成の過程を残している |
| 公開・販売の前 | ・画像検索などで、既存の作品と似ていないか確認した ・ロゴ・商品・人の顔など、著作権以外の権利が関わるものが写っていない ・自分で加筆・修正した部分を把握している |
| 迷ったとき | ・公開や販売を止めて、弁護士などの専門家に相談する ・依頼を受けた仕事なら、AIを使うことを依頼主に伝えて確認する |
会社や取引先に納品する場合、資料では、AI生成物を取引の対象にするときは、AIで作ったものであることや、既存の著作物と似ていないかの確認をしていることを説明できるようにしておくことが望ましい、とされています。
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講座は個別の案件の法的判断を保証するものではないため、実際の案件では、この記事で紹介した公式資料や専門家への相談もあわせて活用してください。
生成AIと著作権に関するよくある質問
Q:AIで作った画像は、自分の著作物になりますか?
文化庁の資料では、人がほとんど指示を出さずにAIが作ったものは著作物にあたらないと考えられる一方、人が道具としてAIを使い、創作意図と創作的寄与があれば著作物になり、利用者が著作者になると考えられる、とされています。個別の事情で判断されるため、一律には決まりません。
Q:商用利用OKのAIなら、作ったものは自由に使えますか?
サービスの規約で商用利用が認められていても、既存の作品に似ていれば、第三者の著作権を侵害する可能性は残ります。規約の確認と、既存の著作物との類似の確認は、別々に必要です。
Q:有名なキャラクター風の絵を作って、SNSに載せてもいいですか?
キャラクター名を指定して似た絵を作ると、依拠性が認められやすくなると、文化庁のチェックリストで説明されています。既存のキャラクターと類似していれば、公開が著作権侵害になり得ます。避けるのが無難です。
Q:トラブルになったら、誰が責任を負いますか?
文化庁の資料では、AIの利用者だけでなく、AIの開発・提供事業者が責任を負う可能性もあるとされています。ただし、実際の責任は個別の事案で決まります。不安なときは、弁護士などの専門家や、文化庁が案内している法律相談窓口を利用しましょう。
まとめ:「類似性・依拠性」と「規約」を意識して使おう
- 生成AIの著作権は、学習段階・生成利用段階・著作物性の3つに分けて考える
- 公開・販売する生成物は、既存の著作物との類似性と依拠性で侵害かどうかが見られる
- 作品名・キャラクター名・作家名を指定すると、依拠性が認められやすくなる
- 「AIで作った=著作権なし」「自分が作った=必ず権利あり」とは限らない(創作的寄与で判断)
- 規約で商用利用OKでも、第三者の権利を侵害しない保証ではない
- ロゴ・人の顔・声などは、著作権とは別の権利が関わることがあるので別途確認する
まずは、使っているAIサービスの利用規約を一度開いて、商用利用の項目を読んでみるところから始めてみてください。
※記事内の情報は2026年10月28日時点で確認した、文化庁の以下の公式資料の内容です。「AIと著作権について」/「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)/同【概要】(令和6年4月)/「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)。法律や運用は変わることがあるため、最新の情報は文化庁の公式サイトでご確認ください。個別のご相談は、文化庁の文化芸術活動に関する法律相談窓口や弁護士などの専門家へ。
※写真の出典:Shixart1985「Middle-aged businesswoman typing on laptop at home office」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。