「DaVinci Resolveは無料で使えると聞いたけれど、AI機能も無料で使えるの?」「Studio版を買う価値はあるの?」と迷っている人は多いはずです。実は、DaVinci ResolveのAI機能の多くは有料のStudio版の機能として公式に案内されています。

この記事では、DaVinci Resolveの AI機能(公式の呼び名はDaVinci AI Neural Engine)を、無料版で使えるもの・Studio版限定のもの・公式に区分の記載がないものに分けて整理します。料金や機能は2026年10月27日時点でBlackmagic Design日本公式サイトを確認したものです。

DaVinci ResolveのAI機能(DaVinci AI Neural Engine)とは

DaVinci Resolve(ダビンチ・リゾルブ)は、Blackmagic Design社の動画編集ソフトです。カット編集、色補正(カラーグレーディング)、音声編集、視覚効果などを1つのソフトで行えます。

公式サイトによると、DaVinci AI Neural Engineは、ディープニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みをまねた学習方法)と機械学習、人工知能を採用した仕組みです。顔認識、オブジェクト検出、スマートリフレーミング、スピードワープリタイム、Super Scale、自動カラー、カラーマッチングなどの機能に使われていると説明されています。

つまりNeural Engineは1つの機能の名前ではなく、複数のAI機能の土台になっている技術の名前です。「Neural Engineを使う」という操作があるわけではなく、Magic Maskやスマートリフレームなど、個別の機能として使います。

DaVinci Resolve専用の編集用キーボード
DaVinci Resolveは専用の編集用キーボードも販売されており、プロの現場でも使われています。(写真:TaurusEmerald / CC BY-SA 4.0)

無料版とStudio版の違い

DaVinci Resolveには、無料の「DaVinci Resolve」と、有料の「DaVinci Resolve Studio」があります。公式サイトの記載を表にまとめます。

項目無料版Studio版
価格無料40,980円(税込)
書き出しの上限(公式の記載)60fpsまでのほぼすべての8-bitフォーマット、Ultra HD(3840×2160)までの解像度120fpsまでの10-bitビデオ、4Kを超える解像度に対応(Studioページでは最大32K・120fps)
DaVinci AI Neural Engine公式ページに記載なし搭載
その他の記載—無償版のすべての機能に加え、より多くのResolveFX、時間的/AI空間的ノイズ除去、テキストベースの編集、Magic Mask、フィルムグレイン、オプティカルブラーなど

公式の日本語ページでは、Studio版は「無償バージョンのすべての機能に加え」AI Neural Engineなどに対応する、と説明されています。一方で、無料版のページにAI Neural Engineの機能が使えるという記載は見当たりません。そのため、この記事では「無料版でDaVinci AI Neural Engineの機能が使える」とは書きません。

なお、Studio版との比較表は公式サイトにありません。上の表は、公式の製品ページの文章を整理したものです。

Studio版限定と明記されているAI機能

Studio版の公式ページには、DaVinci AI Neural Engineを使った機能として、Studioにのみ搭載されていると読める形で次の機能が挙げられています。英語版の公式ページにも、Neural Engineが「DaVinci Resolve Studioだけにある多くの機能」を支えているという記載があります。

機能公式ページでの説明(要点)どんなときに役立つか
Magic Maskオブジェクトの分離とトラッキング人物だけ明るくする、背景だけ色を変える、といった部分補正を、手作業で囲まずに行う
AIボイスアイソレーションAIで声を分離雑音の多い場所で録った声を聞き取りやすくする
ダイアログセパレーター/音楽リミキサーAIによる音声の分離・バランス調整セリフと音楽・背景音のバランスを整える
スマートリフレームAIによるリフレーミング横長の動画を、人物などを中心にしたまま縦長に直す
オブジェクト除去映像から不要なものを取り除く映り込んだ小物や看板などを消す
シーンカット検出場面の切り替わりの検出つながった1本の動画を、場面ごとに分割する
UltraNRAIベースの空間ノイズ除去暗い場所で撮った映像のざらつきを減らす
Super ScaleHD素材の高解像度化解像度の低い素材を、より大きな解像度に引き伸ばす
スピードワープリタイム速度変更スロー再生をなめらかにする
顔認識人物に基づくメディアの分類大量の素材から、特定の人物が映るクリップを探す
3D深度マップ映像の奥行き情報の生成手前と奥で別々に補正する
デインターレース公式ページに記載古いインターレース映像を整える

「どんなときに役立つか」の列は、機能名から読み取れる一般的な使い道です。公式ページに書かれている説明は「公式ページでの説明」の列で、効果の程度や画質については、公式ページに具体的な記載を確認できていません。

このほか、トップページにはStudio版の機能としてテキストベースの編集(文字起こしした文章を使って編集する機能)も挙げられています。字幕や文字起こしの考え方は、AI自動字幕のおすすめ比較も参考になります。

機能ごとの注意点

Magic Mask:切り抜きの精度は素材しだい

Magic Maskは、人物や物を指定すると選択範囲を作ってくれる機能です。ただ、動きが速い素材や、背景と色が近い素材では、選択範囲が思いどおりにならないことがあります。仕上がりは必ず自分の目で確認し、必要に応じて手で修正しましょう。

AIボイスアイソレーション:かけすぎに注意

声を分離する機能は、雑音を減らす一方で、声が不自然に聞こえることがあります。ヘッドホンで聞きながら、必要最小限の強さで使うのが基本です。

スマートリフレーム:縦動画の確認は必須

横長の動画を縦長にするとき、AIが中心に選んだ位置が意図と違うことがあります。YouTube動画をショート動画向けに作り直す場合は、全体を再生して、被写体が切れていないかを確認してください。

Super Scaleなどの高解像度化:元の素材より良くなるとは限らない

低解像度の素材を大きくする機能は、元の映像にない細部をAIが補うものです。見た目が不自然になる場合もあるので、できるだけ最初から高画質で撮影するのが一番です。

どの機能も、使う操作の場所(ページ名やパネル名)はバージョンによって変わることがあります。この記事では、公式ページで確認できた機能名だけを紹介しています。実際の操作手順は、Blackmagic Design公式のマニュアルや、ソフト内の表示で確認してください。

バージョン21で追加されたAI機能

公式の「新機能」ページ(DaVinci Resolve 21の新機能)には、AI関連の新機能が多数載っています。ただし、どれが無料版でも使えて、どれがStudio版限定なのか、ページには記載がありません。購入前に、公式の最新情報で確認してください。

機能名公式ページでの説明(要点)
AI IntelliSearchメディアを分析し、キーワードや個々の顔でクリップを検索。結果はメディアプールに表示
高度なAI音声ジェネレーターテキストから音声を生成。約10秒のクリップから独自の音声も作成でき、速度・ピッチ・抑揚を調整
AI CineFocusクリックでピントを合わせ、絞りと焦点距離で被写界深度を変更。ラックフォーカスにも対応
AIフェイス年齢変換/形状調整/シミ除去顔を解析して、年齢の特徴の追加・除去、目鼻口などの形状調整、ニキビやシミを目立たなくする
AIスレートIDと同期カチンコからメタデータを自動抽出
AI UltraSharpenシャープ化。アップスケールした映像やわずかなピントのズレの補正に使える
AIモーションブラー除去ソースを分析して、ブラーを大幅に減らした新しいレンダーを生成
IntelliScript台本(Final Draftやプレーンテキスト)と文字起こし音声を比較して、シーンのカットを生成

このうち、顔の年齢や形状を変える機能は、本人の許可なく他人の映像に使うと、肖像権などの問題になるおそれがあります。仕事で使うときは、撮影した本人の了承を得ておきましょう。

また、新機能ページには「Photoページ」向けの機能として、IntelliSearch、Magic Mask、UltraSharpenも載っています。動画だけでなく、写真の整理や補正にもAIが使われ始めています。

Studio版の価格と、無料版で始める考え方

Studio版の価格は、公式の日本語ページで40,980円(税込)と表示されています。旧価格は51,980円で、「20%オフ!」という割引表示が出ていました(2026年10月27日時点)。割引は期間限定の可能性があるので、購入前に公式ページで今の価格を確認してください。

Studio版の価格(税込)40,980円(旧価格51,980円からの割引表示中・期間限定の可能性あり)
無料版の価格無料
無料版の上限(公式の記載)60fpsまでのほぼすべての8-bitフォーマット、Ultra HD 3840×2160まで
Studio版の上限(公式の記載)120fpsまでの10-bitビデオ、4Kを超える解像度(Studioページでは最大32K)
公式ページDaVinci Resolve 日本公式/Studio

公式サイトの製品ページを見る限り、Studio版にサブスクリプション(毎月払い)の記載は見つかりませんでした。ただし、アップデートの扱いなど購入条件の細かい点は、購入ページで確認してください。

こんな人は無料版からで十分

  • カット編集、テロップ、色補正など、まず基本を身につけたい人
  • YouTubeやSNSに投稿する動画を、Ultra HD・60fps以内で作る人
  • AI機能が本当に必要かどうか、まだ分からない人

こんな人はStudio版を検討

  • Magic Maskやオブジェクト除去などで、部分補正や不要物の削除を速くしたい人
  • AIボイスアイソレーションなどで、雑音まじりの音声を整えたい人
  • 4Kを超える解像度、または120fpsなどで書き出す必要がある人

まず無料版で操作に慣れ、AI機能が必要になったタイミングでStudio版を検討するのが、無駄な出費を防げる順番です。他のソフトとの違いは、AI動画編集ソフトの比較で整理しています。

必要なパソコンのスペックについて

DaVinci Resolveは動画の処理が重いソフトで、特にGPU(グラフィックの処理を担う部品)の性能が快適さに影響します。AI機能もパソコンの中で処理するため、性能が低いと時間がかかったり、動作が重くなったりすることがあります。

ただし、今回確認した日本語の製品ページ、技術仕様ページ、サポートのトップページには、OS・メモリ・GPUなどの必要スペックの記載を確認できませんでした。英語のStudioページには、MacではMetalとApple SiliconのGPU、WindowsとLinuxではOpenCLとCUDAに最適化されているという説明だけがありました。そのため、この記事では具体的なメモリ量などの数字は書きません。

購入や導入の前には、公式のダウンロードページやBlackmagic Designのサポート情報で最新の動作環境を確認してください。パソコン選びの一般的な考え方は、動画編集におすすめのパソコンで解説しています。

自宅でノートパソコンを使って作業する人
動画編集は自宅のパソコンでも始められますが、ソフトの動作環境は事前に公式で確認しましょう。(写真:Shixart1985 / CC BY 2.0)

AI機能を使うときの注意点

AIの結果は、必ず人が確認する

切り抜き、音声分離、ノイズ除去、高解像度化は、どれもAIが推測して処理するものです。うまくいかない場面もあるため、書き出す前に全体を見直しましょう。

購入前に、使いたい機能がどちらの版かを確認する

この記事の表は、公式ページの記載にもとづいて区分しています。バージョンアップで、機能の追加や区分の変更が行われる可能性があります。ほしい機能がある場合は、公式の最新ページで確認してから購入しましょう。

人の顔や声を扱う機能は、許可を得る

顔認識や、顔の加工、AIによる音声生成は、他人の顔や声を扱います。本人の許可なく使うと、トラブルのもとになります。

基本の編集スキルがあってこそAIが活きる

AIは作業を速くしてくれますが、どこを切って、どうつなぐかという編集の判断は人の仕事です。動画編集とAIの全体像は、動画編集×AIの始め方で紹介しています。

オンラインの動画編集スクールSTUDIO USでは、動画編集の基礎から、案件の取り方まで学べます。ソフトの操作に自信がない、仕事につなげたいという人は、基礎を体系的に学べる環境も検討してみてください。

STUDIO USの詳細を見てみる:公式サイトはこちら

DaVinci Resolve AIに関するよくある質問

Q:無料版でもAI機能は使えますか?

公式の日本語ページでは、DaVinci AI Neural EngineはStudio版の説明に含まれており、無料版のページには記載がありません。このため、無料版でAI機能が使えるとは断定できません。無料版で使えるかどうかは、公式の最新情報やソフト上の表示で確認してください。

Q:Studio版は買い切りですか?

公式の製品ページには、40,980円(税込)の価格表示があり、サブスクリプションの記載は見つかりませんでした。購入条件の詳細は、購入ページで確認してください。

Q:IntelliScriptやIntelliSearchは無料で使えますか?

バージョン21の新機能ページには機能の説明はありますが、無料版かStudio版かの記載がありません。公式の最新情報で確認してください。

Q:初心者でもStudio版を最初から買ったほうがいいですか?

公式の記載では、無償版でもカット編集や色補正などの基本的な編集が行えます。まず無料版で操作に慣れて、AI機能の必要性を感じてからでも遅くありません。

まとめ:AI機能の多くはStudio版。まず無料版で慣れよう

  • DaVinci AI Neural Engineは、複数のAI機能を支える技術の名前
  • Magic Mask、AIボイスアイソレーション、スマートリフレーム、オブジェクト除去などは、Studio版の機能として公式に案内されている
  • 無料版でNeural Engineが使えるという記載は、公式の日本語ページに見当たらない
  • Studio版は40,980円(税込)。割引表示中のため、購入前に最新の価格を確認
  • 必要なPCスペックは、公式の製品ページに記載を確認できなかったため、導入前に最新の動作環境を確認する

まず無料版でカットや色補正に慣れ、AIが必要になったらStudio版を検討する。この順番がおすすめです。

※記事内の料金・機能は2026年10月27日時点のBlackmagic Design日本公式サイトの情報です。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
※写真の出典:TaurusEmerald「Blackmagic Design DaVinci Resolve Editor Keyboard」(Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。
Shixart1985「Middle-aged businesswoman typing on laptop at home office」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。